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私の湯治ぐらしvol.1|レイコさん編~シェアハウス湯治ぐらしに住んでいる方の湯治ライフスタイルをご紹介します~

  • 執筆者の写真: 問い合わせ用 湯治ぐらし
    問い合わせ用 湯治ぐらし
  • 7月16日
  • 読了時間: 5分

更新日:8月12日

今回ご紹介するのは、シェアハウス「湯治ぐらし3」に暮らすレイコさん(84)。東京生まれ東京育ち。海外での生活や日本語教師、そしてシャンソン歌手としても活動されてきたレイコさんが、別府への移住を決めたのはご主人の療養がきっかけでした。温泉と多世代の出会いに包まれながら、自分らしく、しなやかに、湯治ぐらしでの日々を楽しむレイコさんに、今の暮らしについてお話をうかがいました。

ご自身のお部屋で楽譜を読みながら、リラックスして過ごすレイコさん
ご自身のお部屋で楽譜を読みながら、リラックスして過ごすレイコさん

―― 簡単に自己紹介をお願いします。

 はい、レイコと申します。東京生まれの東京育ちで、若いころには夫の仕事の関係でルーマニアやロンドンなどで暮らし、子育ても海外で経験しました。ヨーロッパではあちこち旅もして、ほとんどの国を訪ねましたね。

 帰国後は日本語教師の資格を取り、武蔵野市で国際交流員を育てる活動に関わるようになりました。武蔵野市は全国で初めて国際交流協会を設立した自治体で、姉妹都市となっているルーマニアのブラショフに、市からの派遣で4か月間滞在しました。そこでは、現地の方々に日本語や日本文化を教えるクラスを担当しました。

 当時は50代。地域の人たちの中に入って暮らしたその日々は、今の“湯治ぐらし”の生活とどこか似ていて、とても懐かしく感じます。いろいろな背景を持つ人たちと出会い、日々新しい発見がある―そんな感覚が、あの頃と重なるんですよね。ルーマニア語も自然に思い出されて、「ああ、あのときもこうだったな」と感じることがあります。

 その後は中国・南京でも日本語を教えた経験があります。海外生活は自由で、歴史や人々の価値観の違いがとても興味深かったです。


―― 湯治ぐらしに入居したきっかけを教えてください。

 もともとは、夫の療養がきっかけでした。「良い施設がある」と夫が先に1人で別府に移っていたんですが、温泉好きな娘夫婦もその後、別府に移住。「ママの好きそうな場所があるよ」と「湯治ぐらし」を見つけてきたんです。

 しばらく東京に1人で残っていたんですけど、夫婦が離れて暮らしていると娘たちも苦労するでしょう。娘たちの策略もあったと思いますが、今では移ってきてとても良い選択だったと思っています。


―― 湯治ぐらしではどのように過ごされていますか?

 朝は温泉から始まります。お風呂に入ってから一日を始めると、身体も気持ちも整い楽にスタートができるんです。

 昼間は、地域の体操教室に行ったり、公民館の行事に参加したり。月に2回は図書館へ行って、本を借りていますし、読書会や合唱、コーラスの練習もあります。予定がぎっしり(笑)。でも、どれも無理なく、自分のペースで参加できているのがありがたいです。


―― 温泉のある暮らしは、実際にどうですか?

 来た頃よりもずっと身体が軽くなって、周りからも「顔色が良くなったね」って言われるんです。最初はできませんでしたが、今ではシェアハウスから公民館まで坂道を歩いて通えるようになったんですよ。温泉の効果だと実感しています。


―― 同じシェアハウスの住人さんたちとはどのように関わって過ごされていますか?

 海外留学を経験されたAPU(立命館アジア太平洋大学)の大学生や、国内でもいろいろな地域から来た方など、様々な世代や価値観の方がいて、とても楽しいですよ。海外で暮らしていた頃の経験が思い出されます。

 一緒にイベントや温泉に連れて行ってもらったり、皆で食事をしたり。私がいつも興味があっていろいろと首を突っ込んで聞いてしまうのですが、皆さん親切に教えてくださって、仲良くしてくださいます。

 それから、シェアハウスの中にある図書コーナーもお気に入りの場所です。これまでの入居者の方々が残していってくださった本がたくさんあって、ジャンルもさまざま。私は図書館にも通っていますが、このコーナーの本も自由に読ませてもらっています。若い学生さんたちと本の話をすることもあって、お勧めの本を紹介したりされたり。本を通しての交流があるのも、この暮らしならではの魅力ですね。  

「湯治ぐらし3」のリビングで、住人の大学生とお勧めの本について談笑をするレイコさん。
「湯治ぐらし3」のリビングで、住人の大学生とお勧めの本について談笑をするレイコさん。

―― 地域とのつながりで印象に残っていることはありますか?

 シェアハウスがある朝日大平山地区の「鶴寿会」(老人クラブ)に入っていて、そこでは体操や、健康講座などが定期的にあります。新型コロナウイルスが流行った頃には活動が下火になった時期もあったそうなんですが、私が入ったのは活動が再開された頃。久しぶりの新規加入者としてとても温かく迎えてくださいました。特に私と同い年の女性の方たちがアクティブに活動されていて、いつも刺激をいただいています。

 また、別府には無料で参加できる面白いイベントがたくさんあり、夫と一緒に行くこともあり、日々楽しんでいます。


―― 今後の目標や、やってみたいことはありますか?

 大分は日本の西洋音楽発祥の地と言われているそうで、もっと大分や別府の歴史、文化に触れていきたいです。まだまだ知らないことがたくさんありますからね。

 それから、こういう暮らしがあるんだよって、2人の妹たちにも一度体験してほしいなって思っています。私もこれから身体が動かなくなった時の行き先のことを考えていますが、まだまだここでの暮らしを楽しみたいですね。


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