私の湯治ぐらし vol.4|清水ひろみさん・谷早帆子さん編~シェアハウス湯治ぐらしに住んでいる方の湯治ライフスタイルをご紹介します~
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- 10月1日
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「私の湯治ぐらし」第4弾では、立命館アジア太平洋大学(APU)の学生、清水ひろみさんと谷早帆子さんにインタビューしました。温泉を日常に取り入れながら、鉄輪という地域に根ざした暮らしを体験しているお二人。その日々の中で見えてきた魅力や気づきを語っていただきました。
― 簡単な自己紹介と「湯治ぐらし」に住んだきっかけを教えてください。
清水さん
APU国際経営学部の4回生です。寮を出るタイミングで住む場所を探していたとき、アルバイト先の旅館「みゆき屋」の女将さんに湯治ぐらしを紹介していただきました。実は「みゆき屋」は両親が別府に来たときに泊まった旅館で、そのご縁からアルバイトを始めることになったんです。
APU生の多くは海沿いに住んでいますが、私は温泉のある暮らしに惹かれて、1回生の2月から鉄輪の湯治ぐらしで暮らしています。
谷さん
APUサステイナビリティ観光学部の2回生です。最初は大学の寮に住んでいたのですが、仲の良い友達が寮を出ることになりました。私自身も「地域と関わりながら暮らしてみたい」「鉄輪に住んでみたい」と思っていたところ、友達に湯治ぐらしを紹介してもらい、ここでの生活を始めました。
― どんな暮らしをしていますか?
谷さん
生活リズムを整えたくて、毎朝8時に徒歩数分の共同浴場「すじ湯」に通い始めました。顔なじみの地域の方とお話しするようになり、そこからラジオ体操にも参加するようになりました。ご縁がつながって「鉄輪むし湯」でのアルバイトも紹介していただき、今では「渋の湯」や「すじ湯」のお掃除をお手伝いすることもあります。地域とのつながりが、自然に広がっていきました。
清水さん
私は「せっかく別府に来たのだから、温泉が日常にある暮らしをしたい。温泉を深く知りたい」と思っていました。鉄輪は交通が不便だと言われることもありますが、原付を手に入れて移動の自由を確保したので、特に困ることはありません(笑)。

― 鉄輪や温泉のある暮らしの魅力について教えてください。
谷さん
鉄輪は観光と暮らしのバランスがちょうどよく、静かで落ち着いた雰囲気が魅力です。共同浴場やラジオ体操などを通じて地域の方と自然に関われるのも鉄輪ならでは。温泉に浸かる時間は、スマホを手放して何も考えない「シャットダウンの時間」になります。すぐに成果が出ることや目に見えることに価値を置きがちですが、何気ない会話やぼ~っとする時間が、自分を前向きにしてくれると感じています。
清水さん
鉄輪で暮らす中で、当たり前のように温泉に通えることが本当に贅沢だと感じています。温泉は身ぎれいにするためのものだけではなく、何もしない「空っぽの時間」を与えてくれる存在です。タイムパフォーマンスを意識するとつい短く済ませがちですが、ここではゆったりと温泉に浸かることで頭や心をリセットできます。私にとって温泉は、デジタルデトックスならぬ“詰め込み過ぎ生活そのもののデトックス”になっています。
― アルバイトの経験について教えてください。
清水さん
湯治ぐらしにも近く、80年以上の歴史がある旅館「みゆき屋」でアルバイトをしています。女将さんが「温泉に入って帰りなさい」と声をかけてくださるような、とても温かい雰囲気の職場です。事務や経理の仕事を手伝いながら、旅館経営の一端に触れることができています。女将さんと接する時間も長く、鉄輪の歴史を教えていただいたり、いろいろな仕事を任せていただいたりと、とても貴重な経験をさせてもらっています。
谷さん
私は鉄輪むし湯でアルバイトをしています。働いていると「朝ごはん食べてないでしょ?」とバナナやお菓子をいただくこともあって、自給以上の“温かさ”を日々受け取っている気がします。都会や大学ではテストの点数や友達の数といった“目に見える評価”に意識が向きがちですが、ここでは挨拶や素直さといった人柄を見て接していただける。そんな人との関わりが、自分に安心感や肯定感を与えてくれていると感じています。

― 毎月受けられる湯治ぐらしのウェルネスプログラムを受けた感想を教えてください。
清水さん
湯治ぐらしでは皆さんからおすそ分けをいただいたり、食の専門家に発酵調味料の作り方を教わって一緒にご飯を食べたりと、暮らしがいい方向に変化していると感じています。
また、プログラムだけでなく定期的に開かれる歓送迎会も楽しいです。一人暮らしでは出会わないような方と必然的にお話しできて、80歳のレイコさんと交流できたのも貴重な経験でした。
谷さん
大学にいると、どうしても同年代の決まったメンバーとばかり話すことが多いのですが、湯治ぐらしでは学生以外の方とも自然にコミュニケーションが生まれます。自分より年上の方や身近な先輩と関わる機会があるのは、とても面白い体験です。

― 湯治ぐらしはどんな人におすすめですか?
清水さん
ゆるやかな時間を楽しめる方にぴったりだと思います。また、見知らぬ人と話すのが好きな人や、自分のことを語れる人にも向いているのではないでしょうか。
谷さん
地域と関わりを持ちたい方や、鉄輪の雰囲気が好きだという方に特におすすめです。
― 今後の目標を教えてください。
清水さん
あと半年で卒業を迎えます。東京生まれですが、大学は地方で過ごし、少しユニークな4年間を送りました。湯治ぐらしでのゆるやかな暮らしは大きな財産です。バイクでブルーベリー狩りに出かけたり、自分のやり方で生活を楽しんできました。
身体にいいことは自分で選択し、自分でコントロールできる自分でありたいと思っています。就職は東京に決まっていますが、この経験を活かして、働きながらも“緩やかな生活”を大切にしていきたいです。
谷さん
鉄輪に住もうと思ったのは、地域に溶け込んだ暮らしをしたいと思ったからです。その思いは今、実践できていますが、大学生活の中で「地域を変えていく」という覚悟まではまだ持てていません。これからは鉄輪で感じたことを後輩に伝えたり、学んでいる観光学と結びつけたりしながら、自分の学びをさらに深めていきたいです。