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私の湯治ぐらし vol.7|けいじろうさん編〜鉄輪の街灯はオレンジ色。住んでみて初めてわかる温かさ〜

  • 11 分前
  • 読了時間: 6分

「私の湯治ぐらし」第7弾は、立命館アジア太平洋大学(APU)を今春卒業したけいじろうさんに、約3年間の湯治ぐらし3での暮らしを振り返っていただきました。コロナ禍で青春を過ごした世代が、温泉のある鉄輪での暮らしで出会った人々、培ったコミュニティ、そして今も続く繋がりとは。



― 湯治ぐらしに住んだきっかけを教えてください。


APUの寮は1年契約のため、住まいを探していたんですが、北浜とか別府駅近くのエリアはなんかピンと来なくて。APUの学生が多すぎて生活がしづらいと感じたのと、せっかく別府に来たのに別府らしさがないなって思っていましたし、温泉がすぐそばにある暮らしにも興味がありました。そんな時に、湯治ぐらしに入居していた一つ上の先輩に紹介してもらったんです。最初は「鉄輪(かんなわ)」も読めない状態でしたが、見学に行ったら、代表の菅野さんが温泉と同じくらいの熱量で語ってくれて。改装工事もあり、自分が住むことになる部屋は見ないままでしたが、「お願いします」といったのは覚えています(笑)


― 湯治ぐらしに住んで感じた魅力はありますか。


充実しすぎていて、何から話せばいいか迷ってしまうほどです。短期滞在の方も含めて、私が住んでいた3年間で約30人の方と出会うことができました。毎回初対面の方と暮らすわけですけど、僕はほとんど毎回最年少だったので、本当に人生の先輩たちに囲まれていて、いろいろな方と交流できたことがすごく面白かったです。

鉄輪の街並みの散策がすごく好きで、四季を通じて、よくライトアップされた夜の温泉街を歩いてたんですが、菅野さんに言われた「湯けむりと街灯がオレンジ色なのは温かさを表してる」という言葉が今でも忘れられません。

地域の方との関わりも、自分から参加したというよりは、気づいたら「湯治ぐらし3に住んでいるけいじろうくん」って名前が知られるようになっていて驚きました(笑)。風邪をひいたという情報がすぐに巡って、ミカンや温泉卵をいただいたり、そういう温かさがすごく嬉しかったですね。



― 特に印象に残っているエピソードがあれば教えてください。


大学の中で過ごしていると学内の友達や先輩との関わりだけになってしまうと思います。歳の離れた年配の方とも話す機会がたくさんあり、中でも一番思い出に残っているのはレイコさん(vol.1登場)との時間です。毎朝一緒に朝食を食べる約束をして、ニュースを見てそれについて話をしたり。夜は夜で、大学から帰るのをお酒を持って待っていてくれたりして、いろんなお話をしてもらいました。たまに、リンカさん(vol.5)も誘って夕食会を開くこともありました。人生相談や生き方について語ってくれたり、聞いてもらえる方と一緒に住めたことは、大学時代の大切な財産になっています。他の入居者の方から「レイコさんにとっては孫のような存在だね」と言っていただくこともあり、本当に嬉しかったです。


別府大学に通う円城寺さんとは、入居当初からサッカーという共通の趣味があって、一緒に試合を見たり、料理を作ったりしました。専攻も違うので、彼の専門分野の話を聞くたびに新鮮な発見があって、いつも刺激をもらっていました。3年以上の付き合いに感じるような、なんでも話せる間柄になりました。

絵を描くのが好きなので、鉄輪でイラストレーターのトビイ・ルツさんに出会ったことも、大学の外でも自分の好きなことでつながれる人に出会えたのは、良い経験になりました。湯治ぐらし1にも知り合い(vol.5 ナツキさん)ができて、予定を合わせて別府や大分市の夜カフェに連れて行っていただいたのも良い思い出です。



― 日常に温泉のある暮らしはいかがでしたか?


温泉は入るのも気持ちがいいし、疲れがとれるし、温泉が身近にあった3年間の暮らしは大学時代の中でも自慢できる思い出です。温泉が「非日常」から「日常」になった感覚が一番大きいですね。

入居した当初、誰が温泉を掃除するんだろうという話になったのですが、結局僕が一番時間があるということで掃除担当になりました。温泉掃除が日課になっていた3年間。一番風呂に入れるのが何よりの楽しみでした。


APUは標高が高くて冬は寒くて、学校から帰る前にレイコさんに連絡して、「家の温泉の蛇口をひねって、湯船にお湯を満たしておいてもらえますか」とお願いして、温泉を入れてもらい、帰宅してすぐ入って温まって寝る。あれは本当に幸せで、湯治ぐらしじゃなかったらできなかった体験ですね。ほぼ毎日のように温泉に入っていたことを大学の友人にも、よく自慢してました。



― 湯治ぐらしを出てから、暮らしはどう変わりましたか?


東京に帰ってきてからは、入浴剤を買ってきて温泉の疑似体験をしたりしてますけど、やっぱり空間が違います。鉄輪の空気は東京とは全然違って美味しかったなあと、本当に恋しいです。


作った料理をシェアしたり、帰宅した時に「お帰り」が聞こえないのが、一番の変化ですね。誰かが同じ屋根の下にいるというだけで、あんなに安心感があったんだと、改めてわかりました。


食についても変わりました。アユミ先生(フードアドバイザー)に「インスタントの味噌汁は体を壊すから、味噌汁ぐらいは作れるようになりなさい」と言われて以来、出汁から取って味噌汁を作るようになりました。今はほぼ毎日自炊しています。食から自分を整えるという考え方が、自然と身についたと思います。自分の料理にも自信を持つことができるようになりました。


以前は、年上の方と話すことに苦手意識がありましたが、今では全然苦じゃなく、すぐに打ち解けられるようになりました。両親からも「変わったね」と言われました。コロナ禍で行事も全部つぶれて、人との関わりがほとんどなかった3年間を過ごしてから大学に来て、湯治ぐらしで本当にいろんな方と関わって——3年間で自分がずいぶん変わったんだなと思います。



― 湯治ぐらしはどんな方におすすめですか?


緩さとか、安心感を求めている方に勧めたいですね。実際に自分がそうでしたが、新しい自分に出会いたい方にも向いているかなと思います。


大学生が湯治ぐらしに入るのは、一見難易度が高そうに見えるかもしれないけど、実際には年齢なんて全然関係なかった。いろんな人と密度の濃い時間を過ごすことで、自分でも気づかないうちに変わっていくと思います。


高校時代、私はコロナ禍で人との関わりが全くなく青春を味わえませんでしたが、湯治ぐらしで青春を感じることができました。1回限りの出会いも大切ですが、湯治ぐらしで、人生を変えてくれたような人たちと出会い、今でも連絡を取り合っています。そんな方たちとの繋がりをこれからも大切にしていきたいなと思っています。


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